段文凝インタビュー【取材特集!】上海スタイル

NHKの「テレビで中国語」を始めとしたテレビ出演、WEN YOU CHINESE ACADEMYでの中国語講師、早稲田大学政治学研究科ジャーナリズムコースの学生、と多方面で活躍中のタレント段文凝さんが自身初めての長時間講演を行 うため上海に上陸!上海スタイルでは「可愛すぎる中国語講師」という面だけではなく、「中国と日本の架け橋になりたい」という情熱と思想を持った段さんの 姿を伝えるべく、1日密着取材を行いました。中国と日本の架け橋になるために

天津から、外の世界へ

記者:段さんは天津師範大学ではアナウンサーコースを専門に勉強されていました。昔から話すことが好きだったのですか。

段文凝:小さい頃の私を一言で表現するとすれば内向的で内気な女の子でしたね。正直に言って自分があまり好きじゃなかったんですよ。そんな自分 をなんとかして変えたいと思って、人と話したり人の話を聞いたりすることを大切にするアナウンサー専門のコースに進みました。

記者:その「変身」に成功したと思いますよ。今の段さんと実際に話していると、積極的なコミュニケーションを非常に大事にしている印象があります。

dan1段:人と人との積極的なコミュニケーションはやっぱり大切ですよね。中国語の勉強もそうですけど、外国語習得の大きな要素として、動機付けがあります。 「中国の人とうまくコミュニケーションをとりたい」とか「ネイティブみたいに話したい」とか、モチベーションが高い人は上達のスピードも速く、到達レベル も高いですね。

記者:天津テレビ局から日本に留学されました。そのきっかけはどのようなものだったのでしょうか?

段文凝:私は天津で生まれて、ずっと天津で暮らしてきました。この世界って言うのはとっても広いじゃないですか。別の世界に出て、色々な人と出会って知り合い や友達になってみたい。自分の知らない、外の世界で暮らして沢山のチャレンジをしてみたい。そんな思いがあって、外に出ることを決めました。

記者:日本を選んだ理由を聞かせて下さい。

段文凝:中国は「一人っ子政策」を実施しています。私も一人っ子ですけど、家族全員から大事に育てられてきました。そんな子供を風刺して「小皇帝」や「小 公主」というふうに表現することもあります。私の場合、父親が日本語を少し話すことが出来て、名古屋で働いていたこともあったので、日本だと家族が少し安 心出来るという面がありましたね。それから、中国と日本は「漢字文化圏」という言葉に象徴されるように、同じ漢字を使っています。もちろん「先生」(日本 語では教師、中国語では〜さん、夫という意味)みたいに意味が違う言葉も目立ちますが、共通の言葉が多い分、親しみやすいのではないかと思って日本に行く ことを決めました。

記者:確かに中国語も日本語も漢字を使いますから、中国語から日本語への「正の転移(※1)」が生かしやすいのかもしれませんね。

日本語、どうやって身につけたの?

記者:日本語能力ゼロの状態から2年間で早稲田大学に合格されました。段さんの日本語勉強方法の秘訣を是非教えて下さい。

段文凝:実はゼロというわけじゃないんです。日本に行く前の日本語能力は100点満点で言えば5点、えーと、4点ぐらいです(笑)自己紹介がなんとか出来るレ ベルでしたね。今は65点、テストだったらぎりぎり合格ラインでしょうか。勉強法の秘訣ではないかもしれませんが、毎日日本で暮らしていて、日本語をシャ ワーのように自然に浴び続けること、それから日本のドラマやアニメを見ていました。

記者:日本語が生活にとけ込んでいるというのが重要でしょうね。それから、今も十分話すことが出来ていると思いますが自己評価で65点ですよね。目標を高 く設置する姿勢も関係していると思います。早稲田大学政治学研究科ジャーナリズムコースではどのような勉強をされてきましたか。

段文凝:「在日中国語ネットメディアの日本報道」というテーマで研究を進めています。どうして中国と日本のあいだで誤解が生じてしまうのか。中国と日本との距 離は近いとも言えますし、遠いとも言えます。両国間にはもちろん利害の鴻溝(注※2)をはじめ沢山の問題がありますよね。ネットメディアという切り口から その問題に挑みたいと思います。

驚きの連続!日本生活

記者:段さんが実際に日本で生活し始めてからの日本の印象はどうですか。

段文凝: 日本に到着したのが5月。ちょうど雨の日でした。最初の印象は、雨が降っていて、天津を離れてこれから自分で生活をしていかないといけないなと思うと少し 寂しいかなと感じました。雨が降っていたせいか飛行機から降りたとき、空気が澄んでいておいしかったですね。びっくりしたのが日本のラーメン屋で「ラーメ ンライス餃子セット」があったことですよ!「北麵南飯」と言われるように、中国では長江より北の主食は主に粉もの、南はご飯なんです。「ラーメンライス餃子セット」って全部主食じゃないですか(笑)主食をおかずに食べていることにびっくりしました。それから日本の地下鉄のなかはとても静かですね。上海で生 活されていると分かると思うんですけど、こっちの地下鉄のなかはうるさいですよね。

中国と日本のあいだ

記者:日本で暮らし始めた時に苦しかったことはありますか。

300_2段文凝:アパート契約をする時には、保証人が必要ですし、大家さんとの契約も必要です。ある大家さんが、中国人には絶対に住ませたくないとおっしゃった時には 心が痛くなりました。反対に、以前中国語を勉強されていた大家さんからいきなり電話があって、是非住んでほしいと言われたこともありましたね。それから日 本で初めてゴキブリを見た時はショックを受けましたね。一瞬違う動物かと思いました(笑)日本のゴキブリは栄養が良いんでしょうか?すごく大きくてツヤツ ヤ光っていました。中国のゴキブリと違って飛びますし、本当に怖いです。

記者:先ほど、日本のテレビドラマやアニメを見るとおっしゃっていましたが、お気に入りのものはありますか。

段文凝:ジャンルで言えば推理ものが大好きですね。「相棒」とか「名探偵コナン」とか。それから俳優の方では福山雅治さんが好きです。東野圭吾さん原作の「ガリレオ」も大好きですし、「龍馬伝」も見ていました。

人と人から国と国まで

記者:段さんの著書『日本が好き(中国語題:凝視日本)』のなかで「嘘をつかない」、「人を否定しない」、「自分を信用する」という3か条がありました。人一倍言葉というものを大切にされている段さんにとってこれらはどういう意味を持つのでしょう。

段文凝:自分にも人にも嘘をつかないこと、真実を伝えあうこと。相手を尊重して認め合うこと。それから、他の人にも信用されるようにまず自分から私自身を信じ ること。この3つは人と人とのコミュニケーションから国と国との交流まで、大切な要素に当てはまることだと思いますよ。難しいことだとは分かっています が、この3つを大事にして何事にも臨んでいきたいですね。

記者:上海は今回で4回目という事ですが、上海の印象はどうですか。

段文凝:すべて短期間の滞在なので、ゆっくり上海を味わう時間が無いのですが、天津は北、上海は南でイメージが全然違いますね。それから月餅です!天津の月餅 はなかに甘いあんこが入っているものが多いのですが、上海の月餅は塩味の肉が入っているので、食べくらべをしてみたいです(笑)

記者:それでは中秋節に「段文凝さん上海月餅の旅」と題して『水調歌頭(※3)』と月餅で心とお腹を満足させる企画を実施しましょうか(笑)

段文凝:是非お願いします!上海の月餅を食べたいです。

目指せ!「中国と日本の架け橋」

記者: NHKの「テレビで中国語」を始めとしたテレビ出演、WEN YOU CHINESE ACADEMYでの中国語講師、それから早稲田大学政治学研究科ジャーナリズムコースの学生。ジャーナリスト、先生、芸能人といったいろいろな表情を持つ 段さんですが、これからはどのような活動をしていきたいですか。

段文凝:自分の可能性にチャレンジしたいです。だから、自分が出来る事ならどのような仕事にも関心を持って挑戦していきたいですね。それから「中国と日本の架 け橋」なりたいという目標もあります。あせらず、自分の目の前にあることに集中することがその目標に繋がると思います。

記者:それでは、最後に上海スタイルの読者のみなさんへメッセージをお願いします。

段文凝:みなさんも自分に自信を持って、中国に来て下さい。大変なことも、嬉しいことも沢山あると思いますが、生の中国を体験して下さいね!!

※1:外国語習得の過程でプラスになる母語の作用
※2:大きな溝
※3:中国の祭日である中秋節によく引用される、蘇軾(北宋時代の詩人)の詞
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■段文凝 Duan Wenning(タレント)
中国・天津市出身。2009年5月来日。同年まで天津テレビ局に所属し、アナウンサーとして多数のTV番組に出演。
2011年4月より、NHK Eテレ『テレビで中国語』にレギュラー出演。
同年から早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース在学。
『テレビで中国語』への出演とともに、多くの中国語の教材にもナレーション出演。
2011年10月、東京国際映画祭『東京・中国映画週間』の司会を担当。
2012年からは「中国語コミュニケーション能力検定」(TECC)のイメージキャラクターも務め、さらに同年にPHP研究所と旺文社が共同でおこなった 「中国語を教わりたい有名人は?」というアンケートでは、2位以下を4倍以上の票数で引き離して1位に。2012年11月には、自らが講師を務める中国語 講座「WEN YOU CHINESE ACADEMY」もスタートし、中国語学習者の間では知らない人はいない存在になっています。
インターネットでも彼女のことが大きな話題となっており、中国語学習者だけでなく、幅広い層に人気が広がっています。

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