「中秋節」とそれに欠かせない!お菓子「月餅」

中秋節は、春節、元宵節、端午節と並ぶ「中国の四大祭り」と呼ばれるお祭りの1つで、日本では「お月見」としてお馴染みの月を祭るお祭りです。この時期の月が1年でもっとも丸く明るいとされてきました。ですから、中秋節のお休みには家族で明月を楽しみながら月餅を食べ、団欒の一時を過ごすという慣わしがあります。

中秋節の起源・神話

 中秋節の起こりは、古人の月に対する崇拝で、3000年以上前の周の時代にあると言われています。天子は「春分の日」の昼に太陽を祭り、「秋分の日」の夜には月を祭り、1年の豊作を祈っていました。他にも月に関する美しい神話が中秋節を佳節にした由来だとも言われています。中でも有名なのが「嫦娥、月に奔る」です。

昔、10の太陽が空に現れ、その光は火のように大地を照らしました。そのため四海は沸きたち枯れてしまい、山も地も崩れ、灼熱地獄の中、人々は暮らせなくなってしまいました。その時、弓の名手、後羿(ゴゲイ)が天に向かって弦を引き9つの太陽を射落しました。人々を災難から救った後羿は百姓から尊敬されるようになり王にとりたてられました。

YUEBING2その後、後羿は嫦娥(ジョウガ)を妻とし、仲むつまじい生活を送っていましたが、不老長寿を望んだ後羿はある日、西王母(中国の伝説の女神)に不死の薬をもらい、それを嫦娥に保存させました。しかし、8月15日の後羿が出かけている間に弟子である蓬蒙が不老不死の薬をわたすよう嫦娥を脅したのです。嫦娥はとっさにその薬を自分で飲み、月にある宮殿「広寒宮」へ舞い上がってしまいました。戻ってきた後羿は嫦娥が月へ奔ったと聞き、悲嘆にくれて嫦娥を想いました。毎年8月15日になると後羿は庭にテーブルを置いて妻が好きだった果物を供えました。それを見ていた百姓も皆その日に供え物を並べて、嫦娥を記念することが慣わしになったのです。

月餅

 中秋節といえば月餅(ゲッペイ)。月餅は多種多様で、色々な種類の餡があり、それを小麦粉の皮で包んで作られるお饅頭のようなお菓子です。満月をかたどった圓型で、一家の円満を願う想いが表されています。中国語で団らんのことを「団圓」と書くこともあり、月餅は圓型に作られています。また、中秋節の別名が「団圓節」であることからも、一家の団らん、円満に対する想いが伝わってきます。

YUEBING3家族で食べるだけでなく、日頃お世話になっている上司や先生、友人などに贈りあうのも慣習になっています。そのため、中秋節が近づいてくるとデパートやスーパーなど食品店があるところには「月餅コーナー」が設けられ、色鮮やかなパッケージや包装紙に包まれた月餅が並べられます。

元祖やヤマザキといった元々パンやケーキを扱うお店だけでなく、最近ではスターバックスやハーゲンダッツでも中秋節の期間中に月餅を販売するようになっていて、スターバックスのお洒落なロゴ入り月餅やハーゲンダッツのアイスクリーム月餅が贈り物として流行ってきている様子です。

中秋節の現状

 月餅が大人気の中秋節ですが、食品工場が月餅の生産に卵を大量に使用したことによる卵価格の上昇も話題となっています。2週間前までは500グラムあたり4.2元だった卵が今では5元まで上昇しました。卵の価格は8月中旬から上がり始め、今週5元に達したことが話題となり、これからまだ上昇するだろうと言われています。中春節の卵価格の上昇は月餅の大量生産によるものだけでなく、9月の新学期に学校の食堂が一気に開かれ卵の需要が更に大きくなることも要因の1つとして考えられます。

しかし、実際のところ、この時期になるとどこの家庭でもオフィスでも贈り物として届いた月餅の箱が高く積み上げられ、食べきれなかった月餅の処理ができず、結局中秋節が終わると大量に廃棄されるのも恒例行事と化しています。

学校が始まってからしばらく実家に帰っていなかった私ですが、中国人の友人からの「家族と月餅を食べましたか?」というメールが届き、すぐに実家へ向かいました。途中、月餅を買って帰ろうか迷いましたが、去年、残った月餅をもったいなそうに捨てていた母を思い出したため、手ぶらで帰ることにしました。すると案の定、家には近所の方から頂いたものや、父の事務所がいただいた派手な箱に入った月餅が沢山。その日の夜は家族全員で好みの味の月餅を選んで食べ、団らんの一時を過ごすことが出来ましたが、結局全部は食べきれず、うちでも月餅を処分する結果になってしまいました。
個人的に月餅は好きですが、とても甘いためすぐに飽きてしまい1つを食べきることができないこともよくあります。団らんを象徴している中秋節にもかかわらず、毎年ネット上で「月餅の廃棄量」が注目されるのは残念を通り越して無念です。

YUEBING4近年、ゴミなどの環境問題が中国でも少しずつ重視されてきていて、月餅の空箱を卵と交換するというスーパーの回収活動等が中秋節の間に行われるようになっているようです。そんな中でも、毎年必ず注目される「食されずに終わる月餅の無駄」。文化だし、縁起ものだから贈らなくてはいけないという気持ちもわかるのですが、日本でいう「虚礼廃止」を中国でも行うのがいいかと思います。どうしても贈り物文化をなくすことが出来ないのであれば、月餅という生ものではなく、長期間保存できる海苔や干しシイタケなどを贈るといった形に変えたりすることもできます。こういったアイディアが新しいビジネスに繋がったりしないのか?とたまに考えますが…

とにかく、何らかの対策で毎年問題になる月餅の無駄を見直す必要があると思います。

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